事件の概要:
騰訊科技(成都)有限公司、深セン市騰訊計算機系統有限公司は「王者栄耀」ゲームにの著作権を保有している。湖北省極炫網絡科技有限公司、湖北省極利網絡科技有限公司は「閃電租号」アプリを通じて「王者栄耀」ゲームアカウントのレンタルプラットフォームサービスを提供し、その運営するwww.sdzuhao.comウェブサイト上で「閃電租号」アプリの宣伝・普及を行い、長沙七麗網絡科技有限公司はその運営するwww.pc6.comウェブサイト上で「閃電租号」アプリの宣伝・普及およびゲームアカウントの配布を行った。両原告は被告の行為が不正競争を構成すると判断し、先ず法院に訴訟前の行為保全を申し立て、その後法院に訴訟を提起し、被告による権利侵害の停止、影響の除去および損失の賠償を請求した。
判決結果:
長沙市開福区人民法院は次のように判断した。湖北省極炫網絡科技有限公司、湖北省極利網絡科技有限公司はインターネット業界の事業者として、ゲームアカウントに対して実名制が要求されていることを明らかに知っている前提の下で、業界の慣例を無視し、アカウントのレンタル行為を実施したが、これは両原告の経営管理に対する妨害により自己の競争優位性を形成するものであり、信義誠実の原則および商業道徳に反し、インターネット業界のプラットフォーム事業者が合法的な経営と体系的な管理を通じて競争優位性を獲得する業界のエコシステムにマイナスの影響を及ぼし、インターネット業界の市場競争秩序を乱し、事業者としての両原告および消費者としての多くの正常な実名のゲームユーザーの合法的な権益を害した。長沙七麗網絡科技有限公司はインターネットプラットフォームの事業者として、慎重な管理の義務を果たさず、運営するwww.pc6.comウェブサイト上で「閃電租号」アプリの宣伝・普及およびゲームアカウントの配布を行い、同様に市場競争秩序を乱した。三被告の行為はいずれも不正競争を構成する。したがって次の判決を下すものとする。三被告は権利侵害を停止し、湖北省極炫網絡科技有限公司、湖北省極利網絡科技有限公司はその運営するwww.sdzuhao.comウェブサイト上で声明を掲載して影響を取り除き、さらに両原告の経済的損失および合理的な権利保護費用計43万余元を賠償する。
典型事例の意義:
本件はゲームアカウントのレンタル行為に対して訴訟前の行為保全を実施した初めての事件である。本件では一方でインターネットプラットフォームの事業者が、その運営するプラットフォームに対して慎重な管理を行い、合法的な経営を通じて競争優位性を獲得することを指導し、その一方でサイバーセキュリティ法、未成年者保護法に基づき、公共の利益および未成年者の権益の保護を重点的に考慮し、中国のインターネット実名制および未成年者のインターネットへの過度の熱中を防止する政策を積極的に実行し、未成年者の心身の健康の保護を図った。当該事件は2021年度国際知的財産保護協会(AIPPI)中国分会著作権10大注目事件と2021年度中国インターネットガバナンス10大司法事件に入選した。