事件の経緯
被告である広州市の某有名服飾会社は香港の有名上場会社の子会社であり、長年服飾のデザインや生産を手掛けており、同社が運営する多数の服飾ブランドは中国で極めて高い知名度を得ている。被告は権利侵害の吸着式バックルのついた服飾品を多数デザイン、生産し、淘宝(Taobao)や京東(JD.com)、微信商城(WeChat Mall)などのオンラインプラットフォーム上で販売および販売の申し出を行っており、こうした行為はFidlock社の専利権を侵害するものである。
Fidlock社は友好的な協議により当該会社の権利侵害行為を解決したいという善意から、2022年3月9日に当該会社に注意を喚起する書簡を送り、当該会社が淘宝(Taobao)や天猫(Tmall)公式旗艦店、京東(JD.com)公式旗艦店、微信(WeChat)公式商城(Mall)などで公開販売、販売の申し出を行っている服飾品に使用された磁力バックルの構造全体および部品の特徴が少なくとも本専利の独立請求項1に限定された全特徴に適合すると指摘した。しかし、当該会社は書簡を受領した後も数か月間にわたって、その行為が明らかに侵害行為であることを知りながら、和解に消極的な態度を取り続け、和解を口実に協議・交渉を先延ばしにし、かつ権利侵害行為の停止を拒否し続けた。
数か月に及ぶ効果のない交渉が続き、Fidlock社は自身の合法的な権利と利益を守るためには法的手段を取るしかなくなり、2022年8月12日、広州開発区知識産権局に専利権紛争行政処理の申立てを行った。広州開発区知識産権局は2022年8月16日にこの専利権侵害紛争行政処理の申立てを受理し、法に基づき本事件の審理を担当する合議体を編成し、口頭審理に先立って現場検証を行った。2022年12月9日、合議体は口頭審理を主宰し、集佳代理人と被申立人から事件に対する詳細な意見陳述を十分に聴取した。その後、広州開発区知識産権局は12月13日に裁定を下し、侵害被疑製品がFidlock社の専利権の保護範囲に入ると判断し、被申立人に対し、本専利権を侵害する「磁力バックル」のついた衣類の販売および販売申し出を直ちに停止するよう命じた。 こうしてFidlock社と集佳訴訟チームの努力により、集佳弁護士事務所は代理人を務めたFidlock社の専利権保護の行政摘発でまたもや全面的な勝利を収めた。
事件の評価と分析
集佳が代理人を務めたFidlock社の専利権保護の行政摘発で迅速に全面的な勝利を収めたことは、知識産権行政処理の手段が、紛争解決コストの削減および紛争事件の効率的な解決の面で独自の優位性を備えていることを改めて浮き彫りにした。