「ワンタイムパスワードUSB線材」実用新案権侵害事件

2024-01-24

 【基本的状況】

 租電公司は専利番号201720131230.0、名称「ワンタイムパスワードUSB線材」の実用新案権者である。租電公司は森樹強公司らが権利侵害行為をしたと判断し、広東省深セン市中級人民法院に訴訟を提起した。森樹強公司らは抗弁において、租電公司は技術方案が実質的に同一の係争実用新案と関連実用新案を同日出願し、当該関連実用新案権はすでに無効とされており、同じ理由に基づき係争実用新案権も無効とされるべきであるから、租電公司の訴訟請求は却下するべきであるとした。一審法院は上記の2つの実用新案の技術方案が実質的に同一で係争実用新案権が無効となることは明らかであり、または極めて可能性が高いと認定し、租電公司の訴訟請求を却下する判決を下した。租電公司はこれを不服とし、控訴した。本件の二審手続き期間に森樹強公司は係争実用新案に対し無効審判を請求した。最高人民法院二審は、係争実用新案権の安定性に疑義が存在し、または異議がある場合に、後続の審理手続きにさまざまな選択可能な処理方法が存在するときには、人民法院は事情を斟酌して適切に処理することができると判断した。本件は釈明を経て、双方の当事者が専利権の安定性の問題について、相応の今後の利益補償をそれぞれ自由意志で承諾し、最高人民法院は基本的状況、記載証拠、双方の承諾に基づき、「先行裁量、別途提訴」の処理方式を採用し、一審判決を撤回し、訴訟を却下する裁定を下した。

 【典型事例の意義】

 本件は係争専利の行政の権利確定手続きがすでに始まっている状況において、人民法院が初めて双方の当事者に権利確定手続き結果の不確定性に対し、今後の利益補償を自由意思で承諾するよう促す試みを行った。裁判から次のことが明確にされた。専利権侵害事件において、係争専利権の安定性に疑義が存在し、または異議のある状況の下、公平と信義誠実の考えを基に、人民法院が当事者に関連する今後の利益補償の承諾または声明を自由意志で行うよう奨励し、促すことで、事件審理手続きを効果的に推進するとともに、当事者の実質的利益のバランスを適切にとることができる。

 (事例出典:中華人民共和国最高人民法院ウェブサイト)

 

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